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脳内のイメージを出力するための変換とかそんなイメージ

2018'11.19.Mon
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2007'06.01.Fri
とりあえずこれずネタのストックも切れるわけですが。
しばらくテストもあるので創作はお休みになるかもです。

ということでフレディ・フレデリカのお話。
この流れでいくとエヴァとホープもした方がいいのでしょうか
って思うんですけど、二人の過去が全然想像できないです(苦笑


「ここは心の闇を暴く場所」
「心の、闇・・?」
「聖なる闇を司る、闇の神殿クラウドクールダーク」
 広い空間、銀と黒を主として彩られた絵画や壁画は、緑色に侵食されていた景色ばかりの神球では一際冴えて美しく、装飾にも派手さがなく優美さを漂わせて空間に色を添える。そして落ち着かないほどの静けさ。
 フレデリカは話を上の空で聞きながら、周りの景色を楽しんでいた。邪神殿のラグナクレシアスを思いだして懐かしさもこみあげてくる。
 きょろきょろしていると、歩みを止めたフレディにぶつかった。
『余所見してんなよ』
『……ごめん』
『お前、なんともないか?』
 フレデリカは兄の顔を見上げて、首を傾げた。
『どういうこと?』
『ならいい』
 顔を背けられて、フレデリカは頬を膨らませた。
「ここから先へ行くのは苦しいよ」
 シアライドの声で、注目をそちらに写す。体越しに透けて見える景色は若干心地悪いので、すこし移動した。
「どういう意味?」
 セネシオの言葉は無視された。
「先へ行くのは苦しいけど、スーと戦うには大きな力となってくれる可能性がある」
 シアライドが首を傾げた。フレデリカは先ほどの発言の説明を求めようとしたが、次の言葉に遮られた。
「せいぜい十分ぐらいだけどね。きついと思うよ?耐えられない子には」
 仲間に対してシアライドがまばらに視線を送る。フレディとも自分とも目があうが、意味がまだわからない。
「さっきも言ったよね?ここは心の闇を暴く場所」
『お兄ちゃん、さっきっていつ?』
 小声で聞くと、頭を小突かれた。
「耐えられるかな」
 その言葉で合点がいった。先ほど、シアライドと視線を合わせられたメンバーは、目だった過去の持ち主達。フレディの『なんともないか』という問いかけは、つまり。
『ねぇお兄ちゃん。闇だなんてちょっと大袈裟だよね』
 フレディにしか聞こえないようにフレデリカは小声でささやいた。
『お前あっけらかんとしすぎだろ』
『だってぇ……』
 口応えの前にシアライドの声が割って入った。
「嘘、偽りは全く効かないよ。今起こったかのごとく、鮮明に思い起こされる。だから、あまり来たい場所ではないんだけど、主自体は嫌な人じゃないからね・・」
「主がいるのですね」
「行けばわかるよ」
「行かなかったらどうなるって言うのよ!」
 二人は完全に会話を停止させて成り行きを見守った。
「特に害はないけど……」
 静寂に足音が響く。
「俺は行くぞ」
「俺もね」
 ユヅキとトゥトの声にシアライドが口をあんぐり開けたま固まる。
「ま、待って!二人とも大丈夫なの?!」
 フレディは物語の内容を思いだして眉を顰めた。
「そんなもの、とっくに乗り越えた」
「……」
「目先に希望があるかもしれない。なのに過去に怯えて立ち止まるなんて、そんなことするつもりはないぜ☆」
 声を出すのは憚られて、その代わりにフレディは頷いた。二人の言葉におおいに共感する。
「この先に何がある」
「行ってからのお楽しみって言ったでしょ」
 こんどは特徴的な足音。
「行こう」
『ユウ。大丈夫?』
「お前もだろ、アーナン」
「何にせよ、私たちは行かなきゃなんないのよ!」
「この先に僕たちを空間転移させた人物がいるんだろう?その人物を見るまでは帰らない」
 この流れでホープが小さく笑った。
『お前、何がおかしいんだよ』
「いや」
「私も、大丈夫です」
 マリアが顔を上げた。
「たったの十分ですよね?」
「うん。そう、たったの十分」
「レスフィ、行ける?」
 レスフィだけが依然、顔を上げないままだったが、シアライドの問いには頷いた。無茶をしているのがまるわかりで、心配が心をよぎる。
「俺が側にいるからさ。ね?」
 少し除いた表情は不安げだった。
「大丈夫だ……」
 シアライドは頷いて、そのまま少し止まった。再び、一行は歩み出す。

 足取り重たく、それでも前に進む一行。エヴァが、先ほどからホープの手を掴んで離さないのに抱き上げられるのには抵抗しているのが少しおかしくて、また微笑ましい。
『お兄ちゃん、さっきの話だけどね』
『何だ?』
『あれは、闇でも、後悔でもなんでもないよ。だって私達じゃどうしょうもなかったもん』
 フレデリカが飲まれた次元の歪みはほとんど事故のようなものであったし、空間転移が効かなかったのもまた不可抗力。寂しかったことは否定しない。だけどそのぶん今が、こんな深刻な事態に巻き込まれていても、楽しく思える。そのおかげで、天球で消滅してしまうことなく、こうして兄と永らえられたことも、また嬉しい。
『お兄ちゃんだって、探してくれてたみたいだし?』
 悪戯っぽく視線を送ると、フレディは途端に視線をそらした。面白い。
『まあ、後悔したことないのはたしかだな』
『おじいちゃんにも会えたし。あとは、アレが心残りなだけだね』
『おまえさぁ』
『なに?』
 フレディの呆れた顔に、フレデリカは首を傾げて見せた。
『いくらあんな親でも、〝アレ〟はないだろ』
『……その発言、どっちもどっちだよ』

 もう記憶を探っても、顔は鮮明には思いだせない。すっかり遠くなってしまった面影。それでも、家族の中で一人だけだった瞳の青色、大人気なくころころかわった表情の動きはまだよく覚えている。エヴァやホープと出会ったとき、同じ色の瞳に心の中で驚いた記憶はまだ鮮明だ。よく見れば、二人のどちらとも、全く同じ色ではなかったのだけれど。

「いってきまーす」
「いってきまーす!」
「おう。怪我すんなよ」
 口の悪い母親に送りだされて、二人の子供は笑いながら、家を飛び出して行った。
「子供達は本当に元気だね」
「いや、子供なんだから当然だろう」
 窓を覗いて、子供達の背中を見送るのは二人の父親、ブレンダン・K・メア。二人の黒い瞳は彼譲りだ。黒くて短い髪、それでもフレディとはあまり似ていない。どこか凡庸としていて内に秘める雰囲気を持っている。
「何か飲むか?」
 こう声をかけたのは母親、フランチェスカ・メア。二人の母親。二人の黒髪は彼女譲りかもしれない。家庭内で一人だけの青い瞳が特徴的だ。
「じゃあ、コーヒーを」
「わかった」
 フランチェスカは台所へ。てきぱきとした動作が小気味いい。程なくして小さな背中が窓から見えなくなったので、ブレンダンはソファへ戻った。
 二人は駆けずりまわるのに飽きると家にすぐ帰ってくる。そうすれば両親から身を守る術として体術、召喚術、魔術となんでも仕込まれ日々の努力を惜しまないよう何度も言いつけられていた。
 何気ない日常の光景。ただし、もう二度とフレデリカの元へは戻らない光景。心が痛まないわけではない。今こうして永らえていることは幸福であるけれど、生まれ持った肉体も失ってしまった。魔法も満足には使えず、召還術はもう役に立つことがないだろう。普段は意識しないけれど、あらためて考えればこれはこれでまた寂しい。

 フレディの心に過ぎる光景は、フレデリカのそれに比べて大分鮮明だった。年の差が大きいのだろうか。フレデリカに怪我をさせたと言っては拳骨を貰い、男の子だからと体術はより厳しく仕込まれたし、魔術が上手くできないと拗ねれば容赦なく殴り飛ばされたものだった。

「フレデリカがいなくなった!」
 泣きそうになりながら、家路を急いだ記憶は尚のこと鮮明だった。魔術師であったブレンダンが歪みの跡を探すが見つからず、あげくの果てには手の込んだ悪戯かとも疑われた。この心の傷は大きかった。
「いなくなってものは仕方ないだろ!いつまでめそめそしてるんだ。いい年して情けない」
 フランチェスカの厳しい声に、ほぼ反射的に涙は止まった。
「時空の歪みだというのなら、それはただの不幸な事故だ。いつまで嘆いているつもりだ馬鹿」
「娘が消えたのに、なんて言い草だよ」
「あの子はお前と違って魔術に長けてるんだから、空間転移でもなんでもして帰ってくるだろうし、お前と違って馬鹿じゃないんだから、上手いことやって生き延びるだろ」
 そう言われると、もう納得する他なかった。家はいくらか寂しくなったが、そんな生活にも直に慣れてしまった。
 月日の足は速く、フレディがフランチェスカの背を抜き、フレデリカのことはどこかで諦め始めていたほどのころ。
「フレディ。話があるから座りなさい」
 帰ってすぐさま、父親に言われて両親と対峙するようにテーブルに座った。普段一緒になってふざける様な関係でいるからか、尚のこと緊張する。
「話って……何?」
 フランチェスカとブレンダンは顔をみあわせて、視線だけで言葉を交わしたようだった。フランチェスカが、一息置いてから口を開いた。
「フレディ。広い世界を見たくないか?」
 広い世界、すぐには思い描けない。知識でしか知らない、知らない土地。
「あの子のことも、もう待ってるだけだけの時期はすぎただろ。お前もでかくなったし、正直子育てにも飽いた」
「なっ……」
「これからは親があれこれ与えてくるのを待ってる時期じゃねぇの、お前もな」
 ブレンダンが横で頷いた。どうやら、何処にも冗談は隠されてないらしい。フランチェスカのかわりに彼が口を開いた。
「欲しいものはてめぇで拾ってこい。そんために一番楽なのは家から追い出されることだ」
「ということで、私達は明日から天球一週旅行にでかけるから、お前も適当にその辺うろつきに行け」
 フレディは開いた口が塞がらなかった。
「い……家はどうするんだよ!もしフレデリカが帰ってきたら!?」
「墓守のじいさんに言付けしてある」
 しっかり、外堀から埋められていたことに気がついた。
「二度と帰ってくるなとか、そう言ってるわけじゃないんだ。ただ、おまえはもっと広い世界を見てこなきゃいけない。この都はな、平和すぎるんだよ」
 何もいい返せないまま、話は終わってしまった。その後、両親は言葉の通りに放浪の旅にでかけ、フレディ自身も話を聞いていた知り合い達にせっつかれる様にして家を出た。
 放浪の旅の途中、数度噂を聞いたりすれ違ったこともあったが、フレデリカと再会してからは忙しさが先に立って、探すこともできなかった。

 扉が見えた、仲間達の拍子抜けする声が聞こえる。
『一回でいいから、会っときたかったかも』
『そんなこと言ったら化けて出るぞ』
『それは……ちょっと嫌』
 フレディはフレデリカの頭に手を置いた。
『全部終わったら、まあ希望も見つかるかもな』
『それって死んだらって意味?』
『まあ、そんなところ』
 扉を抜ければ、そこには神殿の主が待っている。

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