rasterize
脳内のイメージを出力するための変換とかそんなイメージ
2007'05.28.Mon
赤い花、地濡れの大地はこれで完結です。
HTML化は体裁を考えてるのでもう暫くお待ちください。
正直なところ、これは若干ネタバレになるんじゃないかな、なんて。
そんなことないですかそうですか。
この二人のストーリーは、
スキップした会話部分ですとか、エレオノーレを庇った人との話とか、
レオノラとルダルトさんの出会いの話ですとか
妄想のネタにはつきませんので、また何かさせていただくかもしれません。
次はフレディとフレデリカの話のストックがあるので
そちらを公開させて頂く予定。
HTML化は体裁を考えてるのでもう暫くお待ちください。
正直なところ、これは若干ネタバレになるんじゃないかな、なんて。
そんなことないですかそうですか。
この二人のストーリーは、
スキップした会話部分ですとか、エレオノーレを庇った人との話とか、
レオノラとルダルトさんの出会いの話ですとか
妄想のネタにはつきませんので、また何かさせていただくかもしれません。
次はフレディとフレデリカの話のストックがあるので
そちらを公開させて頂く予定。
心の中に溜まっていたものが、ジグソーパズルを上手くはめ込めた時のようにすっかり片付いて、嬉しくなって、その勢いでレオノラは後先考えずに口を開いてしまった。
「最近、思うことがありましたの」
「何だい」
「傷ついても、そこから学ぶものがあるのなら、失敗は恥ずかしいことでも愚かなことでもないんじゃないのかって」
「それは、輪廻自身の言葉か?」
「エニヤさんから影響を受けたのかもしれません」
レオノラは恥ずかしそうに笑った。ルダルトはそんな彼女を暖かな視線で見守っていた。
「それだけかい?」
続きを促す言葉に、レオノラは少し考えてから付け足す。
「あなた様方から見れば、たしかに愚かに見えるのかもしれません。それでも、人間同士の大きな争いにだって、そこから得るものがある限り決して無駄ではないと思いますの。愚かだからこそ、失敗しなければ気づけないんですわ。ですから、そういう痛みも、きっと大きな流れの一つだと思うんです。今ここで私がこうして余計な物を何も気にかけずにあなた様ににお仕えできるのも、きっとその大きな流れの結果だと思うんです」
「……エレオノーレ?」
呟いた声をレオノラは聞き逃さなかった。いくら広いとはいえ、今日もこの場所には二人しかいない。どんなに小さな声でも、その音を遮るものはなにもなかった。
「どなたのお名前ですか?」
「どなたの?お前の名前だろう」
レオノラが制止して、先ほどまで忙しく舞っていたスカートの裾がふわりと落ちる。
「私をレオノラと名付けたのはあなた様ではありませんでしたっけ?」
怪訝そうな顔をして返すレオノラの顔を見て、ルダルトはしばらく呆然としていた。
「ああ、そうだった。……そうだったな」
レオノラは心配そうな表情でルダルトに駆け寄る、スカートの裾が風に乗って再び踊る。
「光神様、お疲れになってるのでは?」
心配から手が伸ばされたが、レオノラはすぐにそれを引っ込めて、自分の胸に当てた。その表情が陰る。
「今日は少し……様子がおかしい気がしますわ」
「そうかもしれないね」
本当に疲れているのかもしれない。あの時のことをこんなに鮮明に思いだしたのは、レオノラと出合った時と、今回で二回目だった。
ルダルトはレオノラに言われるまま、立ち上がった。
「少し、休むことにするよ」
「ぜひ、そうなさってください」
口調こそ柔らかになっていたが、言いたいことを誤魔化さずに言う所は昔から変わっていない。突けばたちまち崩れてしまいそうな危うさも、それに相反するしなやかな強さも、表れ方は違えど変わりない。
一人になれる場所へ向かいながら、ルダルトは自問する。自分は彼女に何を求めているのだろうか。レオノラとエレオノーレをどうしても比べてしまうのに、二人を天秤にかけた時、どちらが重たいのかがわからない。生まれ変わる前の記憶を取り戻させることは神の力をもってすれば不可能なものではない。ただ、その後にどれだけ後悔してもレオノラを取り戻すことは叶わないだろう。その上、決してエレオノーレは幸せな生涯を辿ったとは言えない。そのこともまた枷となって取り付いていた。別れの瞬間こそ美しく笑っていたが、初めてその姿を目にした時、その身は目も当てられないほどに穢れが満ちていた。あの凄惨な様子には数えられないほどの時を過ごしてきた彼であっても驚くのものがあった。
個室に入り、壁に身を預け、額に腕を当てた。目を閉じても自分の真に望むものが見えなかった。
-*-
時が流れ、大気が動き、風が吹き、風は小高い丘の上から地球全域に広がります。木々は揺れ、花びらは空へと舞い上がりました。その花びらのうちの数枚は風に乗って神殿まで届きました。
レオノラは、花びらを拾い上げて妙な規視感に首を傾げました。少しだけ結われた髪がはらり肩からと落ちます。
「この花、赤くなかったかしら」
「最近、思うことがありましたの」
「何だい」
「傷ついても、そこから学ぶものがあるのなら、失敗は恥ずかしいことでも愚かなことでもないんじゃないのかって」
「それは、輪廻自身の言葉か?」
「エニヤさんから影響を受けたのかもしれません」
レオノラは恥ずかしそうに笑った。ルダルトはそんな彼女を暖かな視線で見守っていた。
「それだけかい?」
続きを促す言葉に、レオノラは少し考えてから付け足す。
「あなた様方から見れば、たしかに愚かに見えるのかもしれません。それでも、人間同士の大きな争いにだって、そこから得るものがある限り決して無駄ではないと思いますの。愚かだからこそ、失敗しなければ気づけないんですわ。ですから、そういう痛みも、きっと大きな流れの一つだと思うんです。今ここで私がこうして余計な物を何も気にかけずにあなた様ににお仕えできるのも、きっとその大きな流れの結果だと思うんです」
「……エレオノーレ?」
呟いた声をレオノラは聞き逃さなかった。いくら広いとはいえ、今日もこの場所には二人しかいない。どんなに小さな声でも、その音を遮るものはなにもなかった。
「どなたのお名前ですか?」
「どなたの?お前の名前だろう」
レオノラが制止して、先ほどまで忙しく舞っていたスカートの裾がふわりと落ちる。
「私をレオノラと名付けたのはあなた様ではありませんでしたっけ?」
怪訝そうな顔をして返すレオノラの顔を見て、ルダルトはしばらく呆然としていた。
「ああ、そうだった。……そうだったな」
レオノラは心配そうな表情でルダルトに駆け寄る、スカートの裾が風に乗って再び踊る。
「光神様、お疲れになってるのでは?」
心配から手が伸ばされたが、レオノラはすぐにそれを引っ込めて、自分の胸に当てた。その表情が陰る。
「今日は少し……様子がおかしい気がしますわ」
「そうかもしれないね」
本当に疲れているのかもしれない。あの時のことをこんなに鮮明に思いだしたのは、レオノラと出合った時と、今回で二回目だった。
ルダルトはレオノラに言われるまま、立ち上がった。
「少し、休むことにするよ」
「ぜひ、そうなさってください」
口調こそ柔らかになっていたが、言いたいことを誤魔化さずに言う所は昔から変わっていない。突けばたちまち崩れてしまいそうな危うさも、それに相反するしなやかな強さも、表れ方は違えど変わりない。
一人になれる場所へ向かいながら、ルダルトは自問する。自分は彼女に何を求めているのだろうか。レオノラとエレオノーレをどうしても比べてしまうのに、二人を天秤にかけた時、どちらが重たいのかがわからない。生まれ変わる前の記憶を取り戻させることは神の力をもってすれば不可能なものではない。ただ、その後にどれだけ後悔してもレオノラを取り戻すことは叶わないだろう。その上、決してエレオノーレは幸せな生涯を辿ったとは言えない。そのこともまた枷となって取り付いていた。別れの瞬間こそ美しく笑っていたが、初めてその姿を目にした時、その身は目も当てられないほどに穢れが満ちていた。あの凄惨な様子には数えられないほどの時を過ごしてきた彼であっても驚くのものがあった。
個室に入り、壁に身を預け、額に腕を当てた。目を閉じても自分の真に望むものが見えなかった。
-*-
時が流れ、大気が動き、風が吹き、風は小高い丘の上から地球全域に広がります。木々は揺れ、花びらは空へと舞い上がりました。その花びらのうちの数枚は風に乗って神殿まで届きました。
レオノラは、花びらを拾い上げて妙な規視感に首を傾げました。少しだけ結われた髪がはらり肩からと落ちます。
「この花、赤くなかったかしら」
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