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脳内のイメージを出力するための変換とかそんなイメージ

2018'02.22.Thu
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2007'05.26.Sat
久々に納得いけるものがかけたなぁと思ってます。
ここから良い方向に転べるならよいのですが、
HTML化したい、と言ってましたが、ちょっと方法に悩んでます。
しないままになりそうな(汗

 密度の高い会話からもたらされていた充実感を違和感が貫きました、早くも忘れかけていた気配が、エレオノーレの機嫌を酷く害します。あまりにも不愉快な気配に表情が歪みました。
「どうした?」
「まさかあなたがお気づきになってないわけではないでしょう?」
 ルダルトは、眉を顰めました。
「私の敵です」
 声にこそ出しませんでしたが、その表情はあまりにも雄弁に心の内を語っていました。
「お別れです。あなたとも、多分……この世界とも」
 広い神殿、しかし世界はそれ以上に広かった。あの丘で見た美しすぎる光景がそれをエレオノーレに教えてくれた。あのような景色が、卑しい存在に穢されていると知るともう居ても立ってもいられません。今すぐにでもそこへ向かいたい。もっと早く、そこに来ることができればどれだけ違ったでしょう。それよりも、もっと違う土地や、もっと違う時代に生まれていれば、どれほど違ったのでしょう。募る思いに底は見えません。
「行かなければいい。何故みすみす死にに行くような真似をするのだ」
「この地球上で最も美しい場所まで、血で汚れていくのを、あなたはみすみす見逃せとおっしゃるのですか?あなたと話せて、良かった。人類は見捨てられていたと、あなた達を呪いながら死ぬことはなくなりました。ありがとうございます。」
 そう言われればルダルトにはもう返す言葉がなかった。
「いつか、生まれ変わったらまた会いにきます。あなたにはそれでいいでしょう?約束ですよ」
 ルダルトが答えに詰まっているうちにエレオノーレは背を向けて歩きだしました。
「……その時はもっと長く、お話してみたいです。その時は、あなたの心から笑った顔が見たいと思います」
 声は小さかったけれど、驚くほどよく通って、ルダルトの耳にまでしっかり届きました。ルダルトが驚きで固まっているうちに、エレオノーレは脚を止めて、振り返りました。金髪が、橙色のリボンと一緒に舞い上がって、肩に落ちました。
 その向こうでは、エレオノーレがこれまでで一番いい顔で笑っていました。
「さよなら、ルダルト」
 名前を呼び捨てる非礼を咎める前に、エレオノーレはルダルトの目の前から姿を消しました。連れ戻すこと、叶わないわけではなかったのに、それをする気は起こりませんでした。

-*-
 
「こういうのを、きっといじめって言うんだわ」
 見渡す限り、そこにいるのは人類でした。何故、彼等は敵なのでしょう。何故、ここで自分がやらなければならないのでしょう。いくら疑問に思っても答えは浮かびませんでした。きっと、このようなどうしようもない廻り合わせを人は運命と呼ぶのでしょう。ならば、エレオノーレはやりきるしかないのです。幸いなことに、エレオノーレはそれだけの実力をもって生まれてきました。あの時、誰でもなくエレオノーレが守られて、生き残ったのも、あのあと光神と対峙することになったのも、きっとこの時のためだったのでしょう。
 相手の攻撃が届く前に、詠唱を終えられれば、エレオノーレの勝ちです。しかし心は自信に満ちていて、そのような不安はこれっぽっちも抱きませんでした。
「〝大地は血に穢れ、穢れは悲しみの風を産んだ、風は人を凍えさせ、心を吹き飛ばし、本能に熱を望ませた〟」
 凛とした声が、遮るもののない土地に広がりました。
「〝今こそ望み集う時。心よ、今こそ生まれた血塗れた汝が土地に帰れ。吹け、この痛みを風に変えて。流せ、この血をこの土地に。轟け、この叫びよ高らかに。焼け、この穢れを彼の空へ。育て、この涙を糧として。圧せ、この気を力に変えて。彩れ、この地を鮮やかに。落とせ、この地の底辺へ。生かせ、この地を癒すもの。滅ぼせ、この地を穢すもの〟」
 白い服を汚してしまうことだけが気がかりでした。
「〝照らせ、この世の歓びを。隠せ、この世の哀しみを〟」
 迫る敵兵が見えます。結界の張られるのが見えます。
「〝大地よ、この声を聞け!求めに応じよ!我が望みを叶えよ!〟」
 矢の飛んでくるのが見えます。しかし、全てどうでもよくなっていました。
「〝この血肉を持って、我に害なす物に制裁を!〟」
 エレオノーレは両腕を空に掲げました。見渡すかぎりの青空が見えました。
「〝血塗れた大地の悲鳴〟」
 
 辺りは光に包まれました。

 風が吹きました、木々が揺れて、花びらが舞い上がります。
 舞う赤い花びらに混じって血飛沫もまた、空中に舞い上がりました。

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